『運』に恵まれないと、たとえ『実力』があっても、
その真価を発揮することができません。
それゆえ、成功するためには、『実力』だけでは十分ではない、
と言うことができます。
『運が良い』ということが、どうしても必要になってくるのです。
もちろん、『運』だけが良ければそれでいい、というわけではありません。
『運』が良くても『実力』がなければ、訪れた『幸運』は長続きしないからです。
だからこそ、『実力』と『運』の両方を高める必要があります。
これからの時代は、何が起こるかわからないという意味で、ますます「不確実性」の時代と
なっていきます。それは、「合理性」や「努力」が通用しない領域が増えていくということです。
実のところ、ビジネスも人生も恋愛も、「不確実性」の領域の中にあります。
これら「不確実性」の領域の中にあるものをより良い状態にするためには、
『運』を良くする必要があるのです。


『運』はマネージメントできる・・・
これが『ラックマネージメント』のコンセプトです。
そして、『運』を良くする鍵は『脳』にあります。
このことを、順番にご説明しましょう。

人生における『運』の良し悪しを決めているものは、3つあります。

この3つの総合力が、人生における『運』の良し悪しを決めています。
このうち、2.と3.については、後天的努力によって改善できます。
そして、これらを改善する鍵は、『脳』にあります。

20世紀後半から21世紀にかけて、脳科学の研究が飛躍的に進みました。
脳科学が明らかにしたことは、「楽しい」、「嬉しい」、「心地よい」などの肯定的な感情を感じているとき、あるいは「やる気」に満ちているとき、『脳』の中では、ある特定の神経伝達物質(脳内ホルモン)が分泌されているということです。
このような肯定的な感情を感じているとき、
人は頭脳が明晰になり、健康度が高まり、行動も洗練されます。
結果として生産性が高まり、物事の流れがスムーズになり、ステキな偶然(セレンディピティ)が起こるようになります。
これが、いわゆる「ツイている」状態です。
「ツキ」を呼ぶためには、『脳』の状態を『快』にすることが必須条件なのです。
『脳』の状態と『運』の良し悪しには、相関関係があるからです。
では、どのようにして『脳』の状態を『快』にすればよいのでしょうか?
もっとも簡単な方法は、『脳』に多大なる影響を及ぼしている『環境』を変えることです。
『環境』とは、住環境だけではなく、人間関係も含まれます。


ハイデルベルク大学生理学研究所のマンフレート・ツィメルマン教授の研究によれば、人間の『脳』は、毎秒1千百万ビットもの情報を“無意識に”受け取っています。
われわれが「見ている」、「聞いている」と思って「意識」している知覚の情報量は、たったの70数ビットしかありません。

この科学的研究結果は、何を意味しているのでしょうか?
人間の『脳』は、『環境』が発している情報を、五感を通じて“無意識に”受け取っています。ということは、その情報が乱れていれば、『脳』も混乱するということです。
乱れた情報が、潜在意識に蓄積されると、やがて思考も乱れ、心も乱れ、行動も乱れていきます。結果的に人生が混乱するのです。
『環境』すなわち、私たちを取り巻く『空間』を形成している要素には、色、形、素材、音楽、光、香りなどがあります。具体的には、照明の種類や明暗、 壁にかかっている絵画、窓から見える風景、広さ、大きさ、家具の配置、質感、室内の香り、人や動物、植物等あらゆるものが重なり組み合わさって『空間』情報が形成されているのです。
これらの情報が、『脳』に不快感をもたらすものであれば、当然、『脳』は機能低下を起こし、やがては壊れていきます。
だからこそ、『脳』が心地よいと感じる『環境』を整えることは、
とても重要なことなのです。

ここでは、『環境』が脳に与える影響を分析した研究として名高い、
アメリカのマリアン・ダイアモンド女史の行ったラットの実験をご紹介しましょう。
この実験によれば、遺伝的に知能が低くても、きちんとした『環境』で『脳』を育てれば
全体としては十分に知能が伸びるという喜ばしい結果が出ています。
その実験とは、遺伝的に同一のラットたちを
幼い頃から三つの『環境』の中で育てるというもの。
一つは狭い檻の中で1匹だけ育てるという「貧しい環境」。
もう一つは普通の広さの檻で3匹のラットを育てるという「普通の環境」。
そして、もう一つが輪回しや階段、迷路等の「遊び道具」が置かれた大きな檻の中で、
10匹を育てるという『豊かな環境』。
これらの異なった環境でラットを幼い頃から育て、
おとなに成長してから知能テストを実施。
すると、遺伝的には同一であるにも関わらず、
『豊かな環境』で育てたラットの方が知能テストで優秀な成績を示したのです。
さらに面白いことに『脳』自体も発達したのです。
『豊かな環境』のラットは、脳全体の重さが5%ほど重くなり、大脳皮質もより厚く、
かつ重たくなったと報告されています。
脳重量増加率5%という数字は、 進化的にいうと大変な数字です。
現在の人間の脳重量は約1300グラム。
100万年前は約1100グラム。
つまり、100万年かけて200グラム増えたことになります。
この計算でいくと、現在の人間の脳が5%増える、
つまり1365グラムになるためには、数十万年の時間が必要になります。
ラットは『豊かな環境』で育てられたことで、
人間での数十万年に相当する進化を果たしたことになります。
しかもこのラットは、記憶力や学習する早さといった
「学習能力」が格段に伸びていたといいます。
つまり、この実験からわかることは、
『豊かな環境』は、脳皮質や脳を重くすると同時に、知能も発達させるということです。

『心』と『脳』と『環境』は、繋がっています。
繋いでいるのは、神経系のネットワークです。
ここで言う『環境』とは、住居や職場等の住空間だけではなく、時代背景や人を取り巻く人間関係(人脈)も含みます。
前述したとおり、『脳』は五感を通じて、『環境』から毎瞬毎瞬、膨大な情報を受け取っています。それは、ほとんど「意識」にのぼらず、「潜在意識」の中に入っていきます。
『環境』が『脳』に与える影響は膨大であり、意識できる情報の10万倍以上の情報が、毎秒『脳』に入っているのです。
この『潜在意識』の中に入っていく情報は、やがて『心』の傾向(思考や感情のパターン、癖)を生じさせ、それが「習慣」を生み、その人の「行動」を規定します。
人生で成功できるのか、そうでないのかは、「行動」の質が決めるのですから、「潜在意識」に組み込まれた「プログラム」=「習慣」の内容が鍵を握っています。
経済状況や健康状態などが、『脳』のアウトプット(=言葉や行動)の『結果』なら、
その『結果』を変えるためには、『脳』にインプットされる情報(環境、つきあう人から受ける影響)を変えなければなりません。
『ラックマネージメント』とは、まさにこの『脳』に入ってくる様々な情報をマネージメントするスキルなのです。
では、『ラックマネージメント』で
『運』をマネージメントしてさえいればよいのでしょうか?